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『太陽ドレス』横澤進一

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暗渠脇 小径の奥の突き当たり 太陽ドレスの東西南北 働くおじさんこんにちは 確信めいた足取りの 行く宛なしの写真燦々 ●210×148×17mm ●カラー ●コデックス装/128P ●デザイン:横澤進一 ●2026年発行 ..................................................................... 家の周りの写真を撮ろうと思い立ち早朝に家を出る。 朝日を浴びたコンビニのゴミ箱がピカピカに立ち上がっている。 > 一駅だけ地下鉄に乗る。 隣におじさんが座ってくる。 今まで7時までに勤務先に行けばよかったが、6時になったので5時に起きてごはんを食べないとならない.6時なんて知らなかった.とにかく5時にごはんを飲み込まねばならないという話しを、見えない誰かに向かってエンドレスでしている。 ごはんを飲み込むという部分で何度もぞわっとする。 > 駅に着き地上に出る。 サラリーマンの二人組が後ろから歩いてくる。 上司風の男が「かみさんと飲むときは白だけどひとりで飲むときは赤だよね」と言うのが聞こえる。 部下みたいな男が「すごいすねえ」と返す。 別に何もすごくないだろうと思うが、そういうことを返せないから自分は組織に属せなかったんだと思う。 > 住宅が密集している地域に入る。 背後からずっとおばさんがついて来る。 道に迷っているようで、携帯で誰かにずっと助けを求めている。 「わたし100円のファミリーマートからまっすぐ歩いてきたのよ。100円のファミリーマートよ。まっすぐでいいのよね。」と、焦っている。 100円のファミマと言ってる時点でだめだなと思う。 > 狭い路地で何枚か撮る。 近所のおばさんに「役所か何かの方ですか?」と聞かれる。 はいと答えて移動する。 > 住宅街でしばらく写真を撮る。 昔、ドラマで、金八先生が、試験の日は少し早めに会場に着いて、学校の周りを散歩でもしてみると、自分と同じ名前の表札を見つけたりして気持ちがよくなったりするからやってみろ.という話をしたときに、眼鏡の真面目そうな生徒が、もし同じ名前の表札が無かったらどうすればいいんですかと、泣きそうになっているシーンを思い出す。 > 昼めしにしようと思い、店を探す。 いつもはコンビニもないような場所で撮影しているので、東京はやっぱり便利だなと思う。 牛丼屋に「並」と言いながら入り椅子に座る。 「大盛ですね」と言われ、「いや、並で」と、もう一度言うと同時のタイミングで、店員が皿をガッシャーンと落としてしまう。 店員は「申し訳ありませんでした!お騒がせしました」と店内に向けて謝る。 するとまたすぐおれに、「並ですね申し訳ありませんでした」と謝る。 「いや、聞こえづらくてすみません」と返事をすると、「え?大盛りですか?」となる。 無言でやり過ごすことにする。 > 近所も案外知らない場所だらけだなと思う。 ふらふらと歩いては適当に角を曲がったりしながら撮影する。 工事中の路地を通るたび、警備員に無線で「歩行者行きまーす」と言われたり、「民間人通りまーす」と言われたりする。 > 公園があったので、ベンチで休憩しようと思う。 いつもは座る場所などないところを歩いているので、東京は体に優しいなと思う。 自動販売機で100%オレンジジュースを買ってから公園に行く。 「本商品に含まれるアレルギー物質・オレンジ」という部分をぼーっと見ながら10分くらいベンチに座る。 犬を散歩させてる人が、すごくだるそうに公園に入ってくる。 すごくめんどくさそうだが、犬のことは最低限考えてるような態度で散歩している。 > そろそろ帰ろうと思い、駅に向かう。 途中、インド人風のビジネスマンに突然、スマホを見せられ「この漢字なんて書いてありますか」と聞かれる。 「7時半に後楽園」て書いてありますよと答える。 男は「チッまじかよ」と舌打ちをしながら去っていく。 > 家の前までバスで帰れることがわかる。 少し遠回りになるが、バスで帰ることにする。 バスは思いのほか混んでいて普通に地下鉄で帰ればよかったと思う。 隣の男の小指がなかったので、前を見て静かに座り続ける。 > 家の近くのバス停に着く。 朝日を浴びて立ち上がっていたコンビニのゴミ箱は、夕日を浴びてまだ立ち上がっている。

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